フィトンチッドとは
「フィトン・チッド」とは「森林の香り」のことです。
森林の中に足を踏み入れると、清涼な空気に満ち、爽やかな香りがします。この森林の香りの正体が「フィトン・チッド」です。
フィトン・チッドは、森林の植物、主に樹木が自分で作り出して発散する揮発性物質で、主な成分はテルペン類(芳香成分)と呼ばれる有機化合物です。この揮散している状態のテルペン類を、私たち人間が浴びることを「森林浴」といいます。
樹木は生きていくために、太陽の光エネルギーを利用して光合成を行ない、酸素を放出していますが、二次的にフィトン・チッドなどの成分を作り出しています。フィトン・チッドは、作りだした樹木自身を、有害な微生物や昆虫から守る働きをしています。
1930年頃、旧ソ連のB.P.トーキン博士が、植物を傷つけるとその周囲にいる細菌などが死ぬ現象を発見し、この不思議な成分を「フィトン・チッド(phytoncide)」と名付けました。ロシア語で「植物」を意味する「phyto」と「殺す」を意味する「cide」から作られた造語です。
最近では、このフィトン・チッドが体に良いことが、科学的にも徐々に明らかになってきています。心や体をリフレッシュさせるだけでなく、抗菌・防虫・消臭などの働きがあり、上手に利用することによって、私たちの生活を健康的で豊かなものにしてくれます。語源は少し怖い印象がありますが、私たち人間にとっては、多くの恵みを与えてくれるのです。